でら〜と

『普通に生きる』の上映会を2012年に足立区でお手伝いして、2014年に実際に静岡まで施設を見学に行きました。

重症心身障がい児・者の親御さんたちが地域の中で普通に生きるために立ち上げた施設です。医療が発達し生きられるようになり、どう生きるかを考える局面にいると思います。

施設内視察 (2014年8月)

★玄関★ 担当者が車いすをもって車まで迎えに行く。その際にお母さんが送ってくる場合は昨日の様子などを話 す。
送迎サービス使う人もいて
車は全部で 3 台 バス(10 人乗り・普通免許・車いすのまま乗れる)と軽 2 台 呼吸器のついている子はバスで運転手、看護師が迎えにいく。
看護師は常勤 2 名(1 名だったかも)と非常勤 4 名
医療ケアのない利用者は支援員が迎えにいく。
支援員も吸入の練習をしていて、親御さんが OK なら支援員対応もする。 丁度この日は呼吸器がついている人が 2 名来ていた(時間は 9:30~16:00) →ライフサポート事業を使うと 17:00 まで OK

★食事★ 日中の利用分は作っていて、泊まりの場合は家から持ってくる。冷凍パックなども OK おかゆなどの簡単なものは出せる、またレトルトも OK

★真ん中のホール まほら★ 朝の会などの活動で利用。丁度、訪問時は朝の会の途中で、会の後は洗濯物を畳む遊びをやっていた。運 動などもこのスペースで。
床はコルク素材、床暖が入っている。

★さえだ★
ロッカーが 1 人 2 つ。この部屋のロッカーは初期に作ったためドアなし。増築した「ささら」のロッカ ーは失敗を反省してドア付。さえだの部屋は医療ケアが必要な子が多い。

★ももくさ★ もう少し自分で動ける子達用のお部屋。外のテラスにはプールがある。この日はプールの入るため水着 をきて準備した利用者たちが「自分の足で」プールまで歩き、ひざのサポーターを外してもらい、プール に入っていた。みんなとても楽しみにしている様子が伝わってきた。

★お風呂★
お風呂は月水金

★トイレ★
3 種類ある。支援員が後ろに一緒に座って支えることのできるタイプ、転倒防止バーが設置できるタイ プ、トンビすわりや寝たきりの人たち用のベッドタイプ

★ささら★ 増築で畑をつぶして部屋にした。この部屋は小さい子が多い。

その他の施設についての情報

★行動計画★
1 年計画、1 か月ごとの計画が作成される。サブ看と所長で毎月のモニタリングをしてチェックしている。 リハビリも入っている。PT の先生は 1 週間に 1 回のみの出勤のため、スタッフがその際に PT の先生に 相談しながら内容を決めていく。
PT の先生自体も一人ずつのリハビリ計画書を作っている。





★スタッフ★
1 人のスタッフが 2 名の利用者をみる。食べさせる支援員は 1 週間ごとに交代して特定の支援員が利用 者に必要とされないようにする。

★ステイについて★ 富士宮市のらぽ~とでは金曜土曜の夜のみお泊り OK 日中一時の利用をくっつけて最大 2 泊 3 日にできる。

★そらちゃんのケース★ 医療ケアが必要なそらちゃんは学校に通いながらでら~とも利用している。子ども病院でうまれて呼吸 器がついているそらちゃんについては、訪看ステーションと連携をとっていたので情報が入ってきて、 退院後通うようになった。週 1 日通えるようになろうと、目標を決めたがいまは週 5 日通う事が出来て いる。でら~とで母離れ、子離れできたのに、小学校に入るとでら~とが使えなくなる→学校が「今日は 受け入れが出来ない」と NG を出せば「行くところがない」と判断されるのででら~との利用が可能。 学校に通うことが母子分離を邪魔してはダメ。学校が医療の重さで線引きしてはいけない。でら~とで 母子分離できていたからこそ説得できた。「お母さんがいなくても生きて行けてたのに・・・」と子供も 戸惑ってしまう。 お母さんは下の子を出産するかどうか悩んでいたが、いまは産んで良かったと安定している。 医療ケアがあると事業所も預かってくれない。経管入ってなければ見れます、という異常事態。

★地域★ 大都市は基本的にダメ、静岡でも浜松市や静岡市はナイトケア導入しない。プライドがあるのか?県と 同じことはやりたくない。病院も沢山あるのに、熱意が足りない。 でらーと立ち上げ前に朋の会をみにいった。本当にいい施設でここにあこがれる同業者は多い。但し、横浜市の補助は富士市の倍以上。財政規模が違いすぎて真似できなかった。 殆どのスタッフを非常勤でスタート、時間延長や居宅の兼務で職員の待遇を上げた。

★親が介護し過ぎ★ 在宅で暮らしてきた人は精神的に脆いケースが多い。入所してきた人は施設の中でもまれて強い。サー ビスがない中、お母さんが「自分がかかえなきゃ」「がんばる」「子どもを可哀想な子にしたくない」とす べてをやってあげる事で子どものハードルを取り払ってしまっている。経験すべき苦労も沢山あるはず。 本人が困ったり、苦しんだりも今後の人生を思えば必要。 子どもの介護を理由にお母さんたちの社会性が奪われているし兄弟時は我慢をしている。 歯医者、病院、美容院、お母さんが受け持つと 1 日かかりになってしまう。これをでらーとで請け負って 母子分離することが大事。送迎もお母さんがやると 1 時間かかる所、スタッフがやると 30 分で済む。 歯医者はでら~とに週 1 回のペースで先生が来て治療や虫歯予防を行う。 お医者さんも外来で受診した扱いにして薬を処方。これで風邪程度では病院への通院が必要なくなるの で欠席率が下がる。普通の施設は出席率 80%位だがでら~とは 95%ある。

★次の施設★
遠くからくる人や引っ越してくる人もいる現状。3 か所目の施設の事業計画を出している。国の政策で 20 人以上は単価を落とすとなったのでらぽ~と 20 名 でら~と 20 名でスタートした。 介護保険を入れればお金が入るが、そうするとお金が入る方に流れてしまうので重心に特化した。 次の施設は 25 人の施設。現時点の申込者は 15 名、数年のうちにいっぱいになればよい。
人口 8 万人に 1 か所はこういった施設が必要。

★利用料について★
基本的には障がい者年金 9 万+ 家賃補助 1 万=10 万 のうち 2 万をお小遣いとして残り 8 万で確実 に過ごせるように計算している。今は通所だけだと殆どお金がかからない。但し、保護者会の決めで毎月 1 万円は積立として寄付をしてもらっている。これで年間 400 万。 送迎や入浴は補助が付きにくいので、利用した人は寄付として支払っている。(例 入浴 500 円) これでサービスを使わない人との不公平もなくすことができる。
食費は 1 日 450 円×21 日

★スタッフ★ 利用者は人なれしていて、スタッフといい関係を築いているように見える。どう育てているか? 本人と保護者に育ててもらっている。ずっとこの施設で働きたい、そういう人を採っている。 「私じゃないと世話できない」という職員はダメ。毎年配置を変えて固定の利用者につかないようにす る。

★利用者の目標★
人と上手に関わる。社会性を育てる。嫌な人ともかかわる。下手な人ともかかわる。 親御さんたちが「このスタッフだめ、全然できない」と言ってくるが、それを一緒に考えていかないとダ メ。できない、生産性がない、その否定は自分の子どもの否定。自然に一番最初に淘汰されるのはこの子 達だと忘れてはいけない。それでも生まれてきた意味はあり役割もある。それは健常者でも一緒。使い勝 手のわるいサービスやスタッフをどう変えていくか?1 回でフィットするサービスなんてありえない。フ ィットしなかったときに「もう使わない」と切ってしまうのが親の悪い所。それではサービスは良くなら ない。

★利用者の死★
呼吸器をつけている、心臓疾患のあるお子さんを 1 日目の体験入所はお母さんと一緒に受け入れ
2 日目はお子さんだけで参加した。チューブが抜けた事故もあったが、それが直接的な原因かどうかわか らぬまま、急変して死亡してしまった。親御さんに罵倒され職員は何度もその日の話をさせられてつる し上げられた。お子さんだけで受け入れるまでの日数が足りなかった。親御さんが納得するまで一緒に 通所してもらうべきだった。信頼関係がない中での死亡事故は怒りしか生み出さなかった。結局裁判に はならず、お墓の場所も教えて貰えたが、許してもらったかどうかはわからない。

普通に生きる に出演していた美和ちゃん 映画の中でグループホームへの入所が放映されていたが (でら~との系列ではない)、ホームの中で朝起きたら容体が急変していて亡くなった。お母さんは随分 自分を責めたようです。「自分が一緒にくらしていればこんなことにはならなかったのではないか」と。 答えはでない、ただ受け入れるしかない。お兄さんのほうはでら~との系列の「GoodSon」で暮らしなが ら日中はでら~とへ通所している。

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